2006年01月26日
資本取引を損益取引に変えるからくり
堀江社長、逮捕されてしまいまいましたね。
出た杭は打たれる、ということなんでしょうか・・・
資本取引を損益取引に変えるからくり
今回のライブドアの事件では、資本取引を損益取引に変えるからくりが、使われました。
通常、新株発行をすると、どんなに高い株価で発行したとしても利益にはなりません。
単に、株主からお金を頂いた、ということで、資本金又は資本剰余金に計上されることになり、利益とはなりません。
あたりまえですよね?
では、どうやって、これを利益に取り込むのか?
一口で言うと、「自分とは一見無関係の人に自分の株を渡して、売却してもらう」。これしかないわけです。
会計上、自社が影響力を及ぼせる会社(関連会社、子会社)が自己株式を売却した場合にも、(連結)会計上は資本取引として処理されます。
そのため、利益計上するには、自社とは無関係な会社に自己株式を売却してもらうしかないわけです。
でも、全くの赤の他人に売却されたのでは、自社の利益とすることはできません。
ということで、ポイントは、一見無関係、ということがポイントです。
実際には、何らかの関係があって、自分の言うことを聞いてくれるんだけれども、会計上は、関係ないものと見なされる組織。もしこのような組織を作れれば、自己株式を利益に変えることができるのです。
ライブドアは、この一見無関係な組織を、投資事業組合という組織を使って、作り出したようです。
確かに、私が実際に行っている監査の現場でも、投資事業組合がどんな資産を持っているか、というところまで気を遣ったことはあまりありません。
監査の立場からすると、確かに穴場です。
今回は、このような手法が見つかってしまったので、今後は監査の現場でも注意が払われるでしょうが、他の手段で一見無関係な組織を作り出す方法が出てきた場合に、それを監査人が発見できるかは微妙な気がします。
投稿者 mh1 : 00:59 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年01月21日
ライブドア粉飾決算
ライブドアの件が物議をかもしています。。
今回は、会計的に「資本取引」を「損益取引」に偽造する、という会計的に非常に興味深い手法で粉飾をしていた、という話が出てきています。
新株発行は資本取引
どういう形態であれ、通常の場合、新株を発行した場合には資本取引とされ、会社の利益には一切影響を与えません。
これは、どんなに時価が膨らんで、高値で新株を発行したとしても変わりません。
新株発行を損益取引にできたら
でも、もし、この新株発行を自社の利益に変えることができたなら、、、
自社の業績が上がる→株価があがる→新株発行でさらに業績アップ→株価がますます上がる→・・・
ものすごい好循環ができてしまいます(^^)。
もう、、この循環に乗ってしまえば、もはや向かうところ敵なしですね。
どうやったら、こんなことができるのか?以下、次のページ以降で、その手口を簡単に解説していこうと思います。
投稿者 mh1 : 08:46 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年12月20日
JCOM株式の誤発注の責任の所在は経営者にあり
JCOMの注文をみずほ証券が誤発注したという騒動がありました。
このような誤発注が生じた原因というのを考えてみたいと思います。
担当者が悪い?
まず、真っ先に思い浮かぶのがJCOM株の注文を入力した担当者が悪い、という説。確かに、担当者がJCOM株式を1円で約600,000株などというありえない注文を入れさえしなければ、問題は生じなかったわけです。
でも、よく考えてみてください。
人は、意図しないで間違えを犯します。
今回は、たまたま、この担当者が誤った発注を行いましたが、誰が誤った発注を行ってもおかしくはない状況にあるわけです。
誤操作は、環境+実行者の行為で起きる
このような、本来は行うべきでない行為(誤った発注)が実際に行われてしまうには、条件があります。
今回の場合、明らかに誤った発注をかけられる、という環境下で、不幸にして、誤った発注をかけてしまったために起きてしまったわけです。
みずほ証券のシステムでは、通常でない単価・数量の注文を行った場合には、警告が発せられる仕組みになっていたようですが、新聞報道によれば下記のような状況にあったようです。
- 警告が出ても、そのまま担当者レベルで注文ができる仕組みになっていた
- 警告が日常的に出る仕組みとなっていた
1番目の仕組みについては、証券市場においては、少しの判断遅れが利益にはねかえることから、やむを得ないのかもしれません。でも、本来は、警告のレベルに応じて、責任者承認を得る、絶対に注文を受け付けない等のようなシステムを組んでおくべきところでしょう。
(そもそも、注文直前に担当者別の発注枠(リスクの枠)等を計算して、その枠以上の注文はできないようにする、といった仕組みを整えることは、自己売買を行うならば必須だと思うんですが・・・)
2番目の仕組みはもっと深刻で、警告が日常的に出てしまうとしたら、はっきりいって、警告の意味がありません。
警告は、ここぞ、というときにでるからこそ警告なのであって、頻繁にでたら、重みが低下してしまいます。
誤操作をできない環境を整えるのが先決
みずほ証券においては、誤操作が生じる環境が整っていたところに、担当者の不注意が重なった結果、このようなとりかえしのつかない問題が生じてしまったわけです。
人は間違う、ということを前提にするならば、間違えても、出来る限り支障がないようにシステムを組んであげるのが経営者の腕のみせどころです。
そのような、仕組みを作る能力(または、現場の反対を押し切って導入する能力)がない経営者が、問題が起きた場合だけ、担当者に責任を押しつけるようなことは断じて許すべきではありません。
投稿者 mh1 : 00:15 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年12月08日
役員賞与が損金算入可能になるかも
役員報酬と役員賞与の会計上の取り扱いは統一される見通しとなりました。
でも、税務上の取り扱いがどうなるかは、不透明な状況になっています。
役員報酬は損金算入、役員賞与は損金不算入
税務上は、役員報酬は損金として処理をして納税額を減少させることができます。一方で、役員賞与は損金として取り扱われず(損金不算入)、納税額を減少させる効果はありません。
税務においては、このような取り扱いを正当化するために、下記のような理論構成がなされています。
- 役員報酬は、業務執行の対価であるため、損金として処理可
- 役員賞与は、利益処分として行われるため、株主への配当等と同様、損金不算入
さらに、税法では、実質的な役員賞与を役員報酬として支払うことにより納税額を圧縮することを防止するため、役員報酬の中でも「支払額が変動する部分」は役員賞与とみなして損金不算入の取り扱いをしています。
税務上の、役員報酬(賞与)の取り扱いをまとめると、下記のようになります。
- 役員に対して毎月一定額が支払われる報酬は損金として処理可
- 役員に対して、不定期に支払われる報酬+利益処分により支払われる賞与は損金不算入
ちなみに、このような制度を作った税務署の本音は、利益が出た場合に役員報酬を機動的に上げることによって、納税額を圧縮する、という行為を封じる点にあるようです。
役員賞与を費用計上できるとしても、やっぱり損金不算入?
税務上の理論構成を見ると、役員賞与を損金不算入としている理由は、(建前上は)役員賞与が利益処分により行われるから、というところにあります。
新会社法で役員賞与が役員報酬と同様に取り扱われることになったら、その根拠が失われてしまいそうです。でも、税務署の本音である利益操作防止の観点から見ると、役員賞与の支給手続や経理方法にかかわらず、今まで通り、役員賞与は損金不算入として取り扱われることが濃厚と思われました
ところが、先日、日経新聞に掲載された記事によると、条件付きではあるものの、役員賞与を損金算入可とする方向で改正が検討されているということです。
下記のすべての条件を満たす場合には、役員報酬が変動しても全額を損金算入できるようにする、という方向性で検討されているようです。
- 公開会社が
- 株主に対して役員報酬(賞与)の支給基準を明確化している場合
- その支給基準が合理的である場合
実質的に、個人=会社というような場合には役員賞与は損金不算入だけど、弊害がなければ一定の役員賞与は損金算入可、というのは、たしかに、うまい落としどころだと思います。
投稿者 mh1 : 23:37 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年12月05日
役員賞与の費用計上化
役員賞与の支給手続きが、会社法改正に伴い変更されます。
以前は、役員賞与の支給は、利益処分案の承認という形で行われていたのが、今後は、役員報酬と同様の手続きにより行われることとなりました。
役員賞与の費用計上化
ところで、今までは、役員賞与は会計上、未処分利益の処分という形で行われていたため、株主への配当金の支払等と同じように、利益処分として扱われていて、役員賞与は費用として計上されることはありませんでした。
ところが、今後は、役員報酬と同様の取り扱いがなされるため、役員賞与についても費用計上されることとなってしまったのです。
役員賞与が利益処分として取り扱われていた理由
ところで、今まで、役員賞与を利益処分として扱っていた理由は、あまり明確ではありません。
でも、強いてあげるとすれば、役員はある一定の報酬を得た上で、企業経営を行い、それで利益が出た場合には、その利益を「株主には配当」で、「役員には賞与」で分配する、という考え方があったのかもしれません。
役員報酬と役員賞与の境目は?
もっとも、最近では役員報酬を、定額ではなく、成果連動型にする、という考え方もあり、こうなってくると、役員報酬と役員賞与の区分け自体も不明確になってきています。
このような環境下においては、役員報酬と役員賞与の経理を分ける、という発想自体が、イマイチであると考えられます。
そういう意味では、役員報酬と役員賞与を同一(または類似)の手続きにより承認し、同一の会計処理を行う、というのは、非常に合理的だと思われます。
でも、役員報酬と役員賞与の会計処理が同一になっても、税法の世界では、まだまだ厳然とした区別がなされています。(続く)
投稿者 mh1 : 23:14 | コメント (0) | トラックバック (0)